会員紹介

栄養価の高いオーガニックトマトを届けたい。

移住して一から農業を始めた細野さんの奮闘記。

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​名前

細野さん 

職種

トマト農家 

移住歴

神奈川 → 東京 → 佐久市 → 富士見町 

プロフィール

東京の飲食店に勤務している中で野菜の生産に興味が湧き、移住してゼロから農業を始める。 本当に美味しくて栄養のある野菜を届けるため、日々試行錯誤しながら無農薬ミニトマトの栽培に挑戦し続ける農家さん。 

Q:富士見町に来るまでの経緯を教えてください。

出身は神奈川県です。
大学卒業まで実家で過ごしていましたが、実家が農家だったため、絶対に農家なんてやりたくないと思っていました。
その後、東京の飲食店に就職しました。そこで働いて2年くらいの時に今までなかった感情が自分の中から湧いたんです。日々扱う食材を自分で発注するようになり、野菜の生産に興味を持つようになって農家さんってすごいことをやっているなと思ったんです。
その時に初めて両親への尊敬が生まれ、誇らしいと思いました。小さな頃からもぎたての野菜を食べられる生活をしていて、東京に出てきたんですけど、そういう生活がいいなと思うようになったんです。
それで「ああ、自分も野菜を作りたいな」と思い、半年でどこでやるかを決めると決心し、会社に半年後に辞めますと伝えました。その半年の間に、あるイベントで新しく農業法人を立ち上げる人と出会い、一緒にやらないかと声をかけていただきました。
そして、飲食店で知り合った奥さんとの結婚を機に、二人で長野県の佐久市に移住し農業をはじめたのですが、その会社の方針が合わず半年で辞めることになったんです。

その後、富士見町に移住しました。

Q:なぜ富士見に移住して来たのですか?

実はその会社を辞める前に富士見町と原村に来る機会があって。
前から八ヶ岳の麓で農業したいという漠然とした気持ちはあったのですが、実際に来てみたら自然環境が他とは全然違うなと感じました。その時に「野菜を作るならここでやりたい」と直感的に思ったんですよ。
そして、今の土地とハウスを貸してくださっているオーナーに出会い、トマトを栽培しはじめてから5年が経過しました。

Q:オーナーさんはどんな方ですか? 

病院でカウンセリングなどをするお医者さんで、患者さんを診ていた時に野菜の育て方に着目したそうです。
というのも、患者さんの健康を考えてどの野菜を取ればいいかなどアドバイスをしても、患者さんがどんどん悪くなっていってしまう。なぜかと考え調べたら、現在の野菜にはほとんど栄養価がなく、ものによっては10〜20年前と比較して5分の1くらいまで減ってしまっている。
なので、患者さんが食べて本当に健康になる野菜を作りたいという思いから、農業と野菜の知識を得ていたそうです。
ただ、その方は農業の現場には出られないため、現場で実践できる人を探していた時に、自分が出会い、その方から知識を取り入れて無農薬でトマトを作ることになりました。

Q:なぜ無農薬だったのですか? 

野菜は土から栄養を吸って育ちますが、化学肥料や農薬により土の栄養が減ってしまい、結果的に野菜の栄養価不足に繋がってしまっている現状があります。なので、しっかりと栄養価がある野菜を育てるために無農薬で栽培しています。

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Q:どのように始めたのですか? 

オーナーが1つだけ持っていたハウスで栽培をはじめ、少しずつ土地やハウスを借りて大きくしていきました。ですが、知識だけはあっても技術や経験はなかったので、分からない部分は調べながら手探りで栽培していました。葉っぱや土の状態は日々変わっていくので、現場判断で対応していく必要がありましたし、慣れない一年目はかなり大変でしたね。今でも試行錯誤しながらですが。

Q:かなり大変だったんですね。それこそ無農薬だと難しい事も多いのではないですか? 

そうですね。病気も虫もかなり寄ってきます。
特にトマトは連作障害と言って、同じ場所で同じ物を育て続けると、悪い菌や害虫が寄ってきて滞在してしまったり、収量が減ってしまったり、病気になりやすくなったりする障害が出やすいんです。

本当は輪作と言って毎年作る物を変えるといいのですが、ハウスは場所が限られてしまうためそれも出来ず。なので良い土の状態を保って障害が起こらないように冬場はかなり力を入れて土づくりをしています。

土に良い菌を入れて4ヶ月くらい休ませるんです。だから収穫期自体はかなり短いですね。

Q:収穫期はどのくらいですか?

暖房を入れていない事もあって、2月後半から種まきが始まります。そして育てた苗を4月の中旬くらいに植えて、実際に収穫できるのが6月以降です。そこから霜が降りる11月くらいまでが収穫期です。
約4ヶ月間で1年分を稼ぐので、最盛期の7月8月はかなりの激務ですね。

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Q:収穫期の1週間のスケジュールはどんな感じですか? 

正直2月末の種まきから収穫終わりまでは完全オフな休みは1日もないですね。ハウスの開け閉めや水やりなど、何かしらの管理をしなければいけないので。

収穫期になると朝4時からずっと作業して夜中の2時3時まで。2、3時間しか休まない日もあります。全て手もぎですし、栽培しているのはミニトマトなので、通常のトマトなどに比べても作業量がとにかく多いんです。

Q:冬場の土を休ませている期間は何をしていますか?

冬場は雪国ならではのアルバイトをしています。高速道路の除雪のアルバイトとかですね。
冬場は農作業がない農家さんも多いので、30年40年もやってる農業者さんとかもいます。
他にはスキー場のバイトや寒天屋のバイトもしました。なので冬場もあんまり休んでないですね。

Q:冬場のバイトは生活のためにやっているのですか?

特にそういうわけではないです。
いろんな人と関わるのが好きなのですが、夏場は農業に集中してしまうので人と関わる機会がないんですよね。だから冬場に他の仕事をすることで、いろんな人と関わって繋がりを作り、さらにお金をもらえて一石二鳥だなって感じます。

Q:富士見で今のような生活をしてみてどう感じますか?

正直夏場の忙しい時期は1日でも休みが欲しいと思うことや大変で辞めたくなることもあります。(苦笑)
ですがそれ以上に、東京にいた時とは比較できないくらい理想的な生活ができていると感じます。
汗をかき、日の出から日没まで大自然の中で働く爽快感や自分で作った物を食べて生活できている満足感。それに加えて、自分が作った物をみんなが「美味しい」と言って食べてくれることが何よりも嬉しくて、苦しい時でも頑張る原動力になっています。

Q:細野さんのトマトは本当に美味しいですもんね。ちなみにその生活からどう森のオフィスと繋がったのですか?

トマトを直接買いに来てくれる方の一人に、森のオフィスの入居企業の社員さんがいて、その人が森のオフィスで開催された「ゆびとま富士見!」という富士見町の若手が80人ほど集まる異業種交流会に招待してくれました。そのイベントで一気に富士見の様々な人と交流ができて、富士見にこんな風に人と繋がれる場所があるのかと驚いたのが初めの印象です。

その後、森のオフィスが主催の「森のレストラン」という地元の食材をイタリアで修行を積んできた地元の一流シェフが調理する企画でもトマトやトマトジュースを使っていただきました。

あとは自分が作っているトマトジュースのラベルを作り直すのでお世話になりました。

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Q:なぜ新しいラベルを作ることになったのですか? 

さっき話した社員さんに紹介してもらった森のオフィスのディレクターの高柳さんがトマトジュースをすごく気に入ってくれて、サウナのイベントに持っていってくれたんです。
その時に参加者も「すごく美味しい」と飲んでくれたのですが、別のデザインのラベルもあった方がいいという意見が出たみたいで。それを聞いて新しいものも作ってみようと思ったんです。
そして、高柳さんが森のオフィスの利用者に最近移住してきた東京で実績があるデザイナーさんがいるということで、その方にお願いして作ることになりました。

Q:かなりデザインが変わっていましたよね。今までと比べて都会向きな感じがしました。 

全然違いますよね。なのでかなり好みも分かれます。
トマトジュースは今まで知り合いづてや近場でしか売っていなかったので、今までのお客さんには前の「細野さんのトマトジュース」と書かれたデザインを気に入っていただいています。
新しいデザインはやっぱり都会向けで、値段に見合うのも新しく作ったデザインの方かなって思います。森のオフィスに関わりがある人は東京の方も多いので、今後森のオフィスを通して売っていく時やネット経由の時は新しいデザインでいこうかなって思ってます。

ちなみにまだネット販売用のサイトがなく、知り合いづてや限られたお店だけだと気軽に買えないので今後作りたいです。サイトを作る時も同じデザイナーさんに相談しようかと思います。

Q:移住する人へのアドバイスはありますか? 

都会から来る人はこっちの環境を知れば住みたいと感じると思います。そうなった時にやっぱりその土地に馴染めるかが大切だと思っています。
今は森のオフィスというバックアップがありますが、自分の場合は何の繋がりもない状態で来たので、とにかくイエスマンで何でもやりました。地域の消防団や草刈りのイベント、手伝うことがあれば何でもと言う気持ちで。それができればどこでもやっていけると思います。

要はその土地の人たちと仲良くやりたいって言う気持ちさえあればうまくいくと思うんです。むしろ自分の場合は、東京にいた時のお隣さんも分からず、人との繋がりが希薄な状態が嫌でした。実家の頃のような、お隣さんにジャガイモをあげたら夕飯にはコロッケになって帰ってくるような関わりがいいなと感じます。そういう関わりが好きな人の方が移住に向いていると思います。